2019年7月6日(土)、地域連携・教育ユニットシンポジウム「学術野営2019 in 能登 ―地域の学術資料をむすんでひらく会―」を開催、翌7日(日)にシンポジウム参加者を対象とした巡見を実施しました。
このシンポジウムは、合同会社AMANE、科学研究費補助金挑戦的研究(萌芽)「歴史的資料喪失等を考慮した発生源入力によるオープン化モデルと学術資源基盤の確立」(No. 18K18525)、人間文化研究機構「歴史文化資料保全の大学・共同利用機関ネットワーク事業」との合同で、石川県珠洲市において実施したものです。合同会社AMANEと国立歴史民俗博物館は、7月7日付けで包括的な連携・協力に関する協定を締結し、今後も学術資料の保存・継承・研究・活用に向けた取り組みを協働で行う予定です。
今回は、主に歴史学・文化人類学・民俗学・人文情報学・デザイン等の専門家らが集い、様々な要因で日々失われつつある地域の学術資料の保存・継承・利活用に関する報告と討論を行いました。特に、能登半島のように高齢化・過疎化が急激に進む地域における学術資料の現状と課題を把握し、その解決に向け、今後の学術資料の継承、資料情報の発信、資料や情報の利活用に関するアイディアや意見を交換することを目的としました。
全体を通し、そもそも学術資料とは何なのか、それらを地域で継承するとはどういうことか、資料とその情報を残すとしても何をどれだけ(量・質・時間ともに)残せばいいのか、研究者だけの視点に捕らわれず資料の多様な価値を見出すにはどうすればいいか、といった議論が活発に行われました。今回出された意見や論点をもとに、今後「学術野営」がこうした議論の場としてさらに展開していくことが期待されます。
日時 シンポジウム:2019年7月6(土)13:00-22:00 巡見:7日(日)10:00~15:15
会場 さいはての『キャバレー準備中』
【プログラム】
〇7月6日
13:00~13:10 はじめに(趣旨説明)
堀井洋(合同会社AMANE)・後藤真(国立歴史民俗博物館)
13:10~14:10
セッション1【学術資料の存在・喪失に関する現状の正確な把握・公開】
川邊咲子(国立歴史民俗博物館・金沢大学)
「能登半島における民具の収集・保存の状況とその記録情報について」
堀井美里(合同会社AMANE)
「歴史資料の保存・継承・活用~能登地域を事例として~」
1 4:20~15:20
セッション2【正確な現状把握に基づいた継承・研究利用の検討】
天野真志(国立歴史民俗博物館)
「地域の資料を保存・継承することの課題を考える」
林正治(国立情報学研究所)
「学術資料の保存・継承:リポジトリができること」
15:30~18:00
セッション3【学術資料の継承と一体となった利活用と発信】
中村浩二(石川県立自然史資料館)
「生態系評価による地域再生と持続発展」
阿児雄之(東京国立博物館)
「Information Logisticsを規定に学術資料や文化資源を見つめ続ける」
原嶋亮輔(Root Design) 「学術資料を活かすデザイン思考」
加藤諭(東北大学史料館)
「大学アーカイブズにおける学術資源の利活用~東北大学を事例に~」
高橋そよ(琉球大学) 「民俗文化の記録が紡ぐ島と人と時間・序」 20:00~22:00 ディスカッション(全体討論) 司会:高田良宏(金沢大学)
〇7月7日
10:00~15:15 巡見(禄剛崎灯台、珠洲市立珠洲焼史料館、吉祥寺、天領庄屋中谷家)