8月27日(木)に学術野営2020 in 奥州 関連イベントとして「新型コロナウイルスの感染が懸念される状況下での歴史・文化資料調査のためのガイドラインを考える」を合同会社AMANEと共同でオンライン(zoom)開催しました。
本イベントは、学術野営2020にて行ったセッション「新型コロナウイルス流行後の社会における資料保存・活用について」での議論の内容を受けて、コロナ禍において歴史・文化資料調査を続けていくにはどうしたらよいか、意見を出し合い考える場として実施しました。プログラムとしては、最初に、感染予防対策を伴う調査活動の実践またはコロナ禍における今後の調査研究に関する見解について報告・発表を行い、次に、それらを受け、留意点や課題、対応策について参加者全員で討論を行いました。最後に、いま必要とされる調査マニュアルの素案を提案し、閉会となりました。
各報告者からは、各自が置かれている現状や実践経験を踏まえ、調査における具体的な感染対策や危機管理体制、新しい研究スタイルなどについての話題が提供されました。これらの報告と、その後の総合討論を通し、調査に行くべきか行かざるべきかの判断をどうするか、行くとすればいかなる対策を講じるべきか、行かないとすれば代わりに何ができるかが議論の大きなテーマとなりました。具体的には、調査に行く側の個人・組織としてのリスク管理、コロナ禍において研究を続けることの意義や学問のあり方の再検討、リスクや感染対策に関する調査対象者・協力者とのコミュニケーションの方法、都市の研究者と地方の研究者・調査対象者との新たな関係性の構築などについて意見が交わされました。今回の討論では、ガイドライン(マニュアル)を具体的に検討するまでには至りませんでしたが、そうしたコロナ禍での資料調査の行動規範を考えていく上で必要な視点や検討すべき点が示される結果となりました。
【日時】 2020年8月27日[木] 13:00-17:00
【会場】オンライン
【プログラム】
13:00 趣旨説明
13:15~ 報告(各30分)
報告1:西村慎太郎(国文学研究資料館)「NPO法人歴史継承機構じゃんぴん 歴史資料保存・調査活動ガイドライン(covid-19対応)について」
報告2:堀井美里(合同会社AMANE)「コロナ禍の歴史・文化資料調査の実践」
報告3:高橋そよ(琉球大学)「COVID-19 notes from Islands~新たな「調査地被害」をうまないために~」
報告4:後藤真(国立歴史民俗博物館)「モノ資料調査の可能性 奥州市の調査の経験から」
15:50~17:00 総合討論・ガイドラインのまとめと検討:川邊咲子(国立歴史民俗博物館)