2018年10月28日(日)、Pacific Neighborhood Consortium(PNC)にて、総合資料学に関わる研究発表を実施しました。PNCは、環太平洋の研究機関を中心とするコンソーシアムであり、年に一度、研究発表の大会を実施しています。今年度は、アメリカ・サンフランシスコにあるFort Mason Centerにて実施されました。
この会議はDigital Heritage2018とも共催され、VR技術を活用した3Dを中心とした、文化遺産関係のデータ化に関する研究報告も大変盛んに行われました。特に企業展示では多くのVR事例が示されるなど、今後の文化資源に関わるデータ化に関する新たな動向が示された点が示唆的でした。
後藤は、そのような状況の中で、日本における大規模デジタルデータの現状と課題に関して、研究報告を行いました。同じセッションでは、 米国Getty研究所(Getty Research Institute)によるvocabularyの構造と事例報告が行われるとともに、台湾における最新事例が報告されるなど、今後のデータの国際統合に関する興味深い事例が多く報告されました。
また、この研究報告を通じて、総合資料学のデータ化の事例を国際的に説明する機会ともなりました。結果として、アメリカ・台湾の研究者にも多くの共感を得るとともに、今後のGetty研究所との具体的な連携につなぐための、検討を行う機会ともなりました。
特に、国際的に資料情報を展開するためには、複数の機関との語彙の共通化は欠かすことができない論点となります。そのような点において、それぞれの機関のデータ化の状況を共有するとともに、各国、地域同士でのデータの連携に向けた具体的な進捗の確認と、課題を共有する機会とすることができました。あわせて、日本におけるデジタルリソースの共有に関しても討議を行うことができ、総合資料学のプロジェクトと、歴博の人文情報学研究を結びつける、重要な機会を得ることができました。
【当日のセッション概要(Digital Heritage 2018の当該セッションより)】
4:00-4:20pm
Patricia Harpring, Getty Research Institute
Linking the Getty Vocabularies: The Content Perspective, Including an Update on CONA
4:20-4:40pm
Shu-Jiun Chen, Academia Sinica
Linked Open Data for Digital Humanities: A Case of the Database of Names and Biographies (DNB)
4:40-5:00pm
Marcia Lei Zeng, Kent State University
Towards Easier Access and Effective Usage of LOD Datasets
5:00-5:20pm
Makoto Goto, National Museum of Japanese History
Current Movement of “Digital Archives in Japan” and “khirin (Knowledgebase of Historical Resources in Institutes)”
5:20-5:30
Q&A