2020年2月1日(土)に佐賀大学にて実施された第122回人文科学とコンピュータ研究会発表会(CH122)および第 13 回地域学シンポジウムの共催企画として、第5回人文情報ユニット研究会を開催しました。本研究会は「地域から世界へ ―史資料のウェブ公開とオープンデータ化―」をテーマとして、地域に残された歴史資料を保存・継承し、そしてデジタル化とウェブ公開へと繋げていくために解決すべき課題を共有することを目的にしています。
まず基調報告として、学術情報データーベースCiNiiの開発者として知られる大向氏と、長年東南アジア圏で地域資料のデーターベース化に関ってきた亀田より、人文情報学研究者の視点から見たデジタル化・ウェブ公開に関わる課題について報告と議論がなされました。これに続き特別報告として、開催地佐賀で地域資料の保存とウェブ公開に関わる4名の登壇者から、地域資料のデジタル化の実践報告がなされました。
吉賀氏・伊藤氏が報告した「小城藩日記プロジェクト」は、江戸時代の藩政日記である小城藩日記を情報学の最新知見を用いてデータベース化するプロジェクトで、優れた目録・書誌作りの研究を顕彰するゲスナー賞やデジタルアーカイブ学会賞を受賞しています。小城藩日記プロジェクトのように優れたプロジェクトが国内外の地域と研究者コミュニティに広く共有され、地域資料のオープン化がさらに推進されることを願ってやみません。
【日時】
2月1日(土) 15:00~17:30
【会場】
佐賀大学本庄キャンパス 理工学部6号館多目的セミナー室
【プログラム】
基調報告:
「オープンデータと人文情報学」
大向一輝(東京大学大学院人文社会系研究科)
「地域歴史資料のオープン化事例と課題」
亀田尭宙(国立歴史民俗博物館)
特別報告:
「佐賀県立図書館データベースのリニューアルについて」
本多美穂(佐賀県立図書館)
「デジタルアーカイブ×シビックテックの可能性」
牛島清豪(株式会社ローカルメディアラボ)
「小城藩日記プロジェクトの紹介」
吉賀夏子(佐賀大学総合情報基盤センター)
「なぜ小城藩日記プロジェクトを始めたか」
伊藤昭弘(佐賀大学地域学歴史文化研究センター)