2021年10月11日(月)に2021年度第2回異分野連携ユニット研究会「炭素14年代法が明らかにする『文字を持たなかった文化』の歴史―縄紋文化、アンデス文化の事例から―」をオンラインにて開催しました。今回は、中央大学小林謙一教授をゲストスピーカーとしてお招きし、縄紋時代の高精度年代研究の成果について発表頂きました。また、歴博・瀧上舞プロジェクト研究員から、理化学的分析にもとづくアンデス考古学の成果について発表頂きました。
はじめに、瀧上研究員からアンデス文明における食資源獲得戦略の時代変遷について発表がなされました。炭素14年代法による高精度な年代情報と人・動物遺体に残された同位体情報をもとに、アンデス文明を支えた「トウモロコシ」が、食糧や家畜の飼料として、どのように利用されるようになっていったかを、実際の遺跡調査事例の成果を交えながら詳しく説明頂きました。
続いて、小林教授から、炭素14年代法による日本および東アジア先史時代の実年代化および高精度編年について発表がなされました。ご自身の科研費や、歴博坂本稔教授らとの共同研究を基軸に、膨大な数の遺物に年代を付与され、土器形式にもとづく従来の先史考古学の編年を、大きく高精度化することに成功されたことについて詳しく解説頂きました。
両名の発表によって、文字資料のない文化・文明の歴史解明に、最新の自然科学分析が大きく寄与していること、歴博が長年取り組んできた高精度年代研究も、その進展に大きく寄与していることを、あらためて確認できました。
【日時】2021年10月11日 14:00-16:00
【プログラム】
挨拶・趣旨説明 | 箱﨑真隆(国立歴史民俗博物館研究部・プロジェクト研究員) |
研究発表① | 瀧上舞(国立歴史民俗博物館研究部・プロジェクト研究員) 「同位体分析と炭素14年代分析によるアンデス考古学研究」 |
研究発表② | 小林謙一(中央大学文学部・教授) 「縄紋時代の高精度年代研究の現在」 |
事務連絡など |