2019年10月29日 「日帰り学術野営:デザイン編―学術とデザインをつぐ―」を開催

 2019年10月29日(火)、合同会社AMANEとの共催で「日帰り学術野営:デザイン編―学術とデザインをつぐ―」を開催しました。「日帰り学術野営」は、年に一度開催する学術野営のスピンオフ企画として位置づけられ、今回は特にデザイン編として、デザイン・学術双方の専門家らが集い、情報・意見を交換し合う場となりました。

 学術資料の保存・継承においては、様々な視点から資料の価値を見つめ直し、研究活動だけでなく社会における様々な文化的・経済的取り組みにおいて活用されることで、資料の社会的価値が高まり維持されていくことが期待されます。こうした視点から、今回は、デザイナー・クリエイター・研究者・学芸員などの分野が連携・協働することによって可能となる、学術資料を用いたプロダクツ創出や事業化などの取り組みに向けたアイディアや事例について報告・議論が行われました。

 中村氏からは大学図書館によるグッズ制作の現状や資料をデザイン分野で活用することの可能性について、原嶋氏からは学術資料の魅力の発信・共有に向けたデザイン活用の在り方について、原氏と甲賀氏からはロストテクノロジーの価値の発掘とその発信・継承に向けた実践について、それぞれ話題提供が行われました。それらを受けてディスカッションでは、オープンサイエンスの普及に伴い学術データの公開が急速に進んでいる中で、デザイナーやクリエイターがどのようなデータをいかにして活用しているのか、また今後どのようなデータがいかなる場や手段で公開されることを求めるのかといった質問が出されたほか、学術資料のモノやグラフィックとしての魅力を発信するだけでなく、学術的文脈にも社会的関心を向けるにはどうしたらよいかなどについて意見交換が行われました。このように今回の「日帰り学術野営」は、デザインと学術の専門家らがつながり、協働して実践的な取り組みを行っていくための第一歩となりました。

【日時】 2019年10月29日(火)14:00-18:00
【会場】 AMANE東京ラボ(同ビル内5階の部屋)
【プログラム】
14:00-14:10 はじめに
 <話題提供>
14:45-15:15 中村美里(東京大学総合図書館)
 「東京大学総合図書館所蔵資料のデザイン展開の可能性-『捃拾帖』を中心に-」
15:15-15:45 原嶋亮輔(root design office)
 「学術資料の分解とデザイン編集」
15:50-16:00 休憩
16:00-16:30 原 大輔/甲賀ゆうこ(Missinglink)
 「MISSINGLINK ロストテクノロジーを求めて」
 <ディスカッション>
16:30-17:55 ディスカッション「学術資料に基づいたプロダクツ創出と事業化に向けて」
17:55-18:00 おわりに

ディスカッションの様子
合同会社AMANEが保管する古文書資料を閲覧する様子