2016年11月13日、ワークショップ2の共同研究を神戸大学にて開催しました。
ワークショップ第2回は、奥村弘先生の御協力で神戸大学での開催となりました。
日時:11月13日(日)10:00~13:18
会場:神戸大学大学院人文学研究科A棟1階 学生ホール
内容:
館長挨拶
報告1 「地域文化と薬草栽培の叡智:森野旧薬園から発信する生薬国産化のキーテクノロジー」
報告者:髙橋京子(大阪大学総合学術博物館・同大学院薬学研究科)
報告2 「総合資料学と「文献史学」―中世日本国際交流史研究の立場から―」
報告者:荒木和憲(国立歴史民俗博物館)
髙橋先生からは、現存日本最古の私設薬草園である森野旧薬園(奈良県宇陀市所在)と協力して進めている調査研究とその意義につき、ご報告いただきました。「生薬」と「薬用植物」「薬用作物」の違いから始まる素人にも大変わかりやすい説明で、大阪大学における医薬学・理学・農学分野の横断形連携研究、また地域連携のあり方、さらに薬園の維持や物品の保存等の問題など、歴博として総合資料学を展開していく上でも多く参考とすることができると感じました。
荒木報告は、中世日本国際交流史研究の現状と課題を紹介しつつ、現在、氏が進めている共同研究から総合資料学研究の一事例として、島根県益田市中須東原・西原遺跡出土の朝鮮陶磁をテーマに取り上げたものです。対馬周辺の海流や気象状況等といった自然事象や、和船の構造、政治情勢等、視野を広げて多角的・総合的に把握検討することにより、豊かな歴史像が引き出せることを具体的に示すものでした。
討論では2報告に関する質疑応答に加え、総合資料学の方向性や資料の共有化についても活発な議論がなされました。
なお、ワークショップ終了後には、時間のある有志にて、歴史資料ネットワークが毎週日曜日に実施している東日本大震災被災資料のドライクリーニング作業を見学させていただきました。