2017年2月11日(土・祝)、ワークショップ2の第三回を開催しました。
日時:2017年2月11日(土・祝)13:00~17:00
会場:国立歴史民俗博物館 第一会議室・第一調査室
内容:「古文書を多角的に分析する」
報告1 「正倉院文書の複製を活用する」 小倉慈司(国立歴史民俗博物館)
報告2 「中世古文書の多様な情報」 小島道裕(国立歴史民俗博物館)
報告3 「民俗研究における文書の扱い」 小池淳一(国立歴史民俗博物館)
報告4 「古文書を顕微鏡で観察する」 渋谷綾子(国立歴史民俗博物館)
開始挨拶の後に出席メンバーの自己紹介が行われ、その後に構築中である共同利用基盤プロトタイプの進捗の報告があり、画像参照機能について意見交換がなされました。その後、第一調査室へ移動し、ワークショップ2の館内担当者・ゲストの報告が行われました。
各報告の後では、小倉報告:正倉院文書の複製と製作時の記録メモ、小島報告:越前島津家文書第三巻(赤松入道円心一見状)ほか5点、小池報告:木地師文書ほか3点の熟覧が行われ、渋谷報告では、デジタルマイクロスコープVHX-6000(キーエンス社製)による小島報告で用いた文書の紙の拡大観察が実施されました。
同じ歴史学でも古代と中世の文書における情報の違いが取り上げられ、民俗学研究では民俗表象としての書誌を改めて見つめ直すことが求められているなど、さまざまな視点から古文書を検討することとなりました。さらに、文化財科学の分析手法によって取り出された文書の情報(特に紙の情報)は、新しい文書の研究へ貢献できるとの意見もありました。
まさに、総合資料学のめざす研究スタイル「一つの資料からいかに多くの情報を引き出し、それらを有機的に結びつけていく」をこのワークショップでは実践することができたと思います。
最後に、今回のワークショップでのデジタルマイクロスコープVHX-6000のデモ機使用にご協力くださいました(株)キーエンスの東始氏に心より厚く御礼申し上げます。