2019年7月20日 (土)に国際シンポジウム「デジタル化する歴史災害研究」(英題:Digitizing Historical Disaster Research)を開催しました.
歴史災害,とりわけ歴史地震に関する研究は,現在の社会の災害対策にも寄与する重要な研究分野です.日本ではすでに19世紀末に歴史地震についての研究が始められました.また近年では,近代的観測開始以前の地震記録についてのデータベース化も進んでいます.歴史地震は人文学と自然科学との融合領域であり,人文情報学的諸技術の活用が非常に有効である一方,デジタル技術の活用については定見が確立されているとは言えません.
そこで本シンポジウムでは,イタリア国立地球物理学火山学研究所(Istituto Nazionale Geofisica e Vulcanologia, INGV)に所属し欧州の歴史地震データベースであるAHEADの構築に中心的に携わってきたMario Locati氏,また2019年に新設された東京大学地震火山史料連携研究機構の機構長を務める日本史研究者の榎原雅治氏,東京大学地震研究所および地震火山史料連携研究機構に所属する地震研究者の加納靖之氏をゲストにお招きし,歴史地震学におけるデジタル活用について,最新事例を紹介して頂いた上で,今後の展望についての議論をおこないました.
当日は自然科学および歴史学の各分野から40名以上の参加者があり,活発に議論がなされました.
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国立歴史民俗博物館メタ資料学研究センター国際研究集会
国立歴史民俗博物館開発型共同研究「歴史災害研究のオープンサイエンス化に向けた研究」国際研究集会
国際シンポジウム
歴史災害研究の情報化とオープン化
International Symposium
Digitization and Open Science in Historical Disaster Research
日時: 2019年7月20日(土) 13:00~17:10(12:30受付開始)
Date: July 20 (Sat), 13:00-17:10 (reception starts at 12:30)
会場:東京大学地震研究所1号館2階 セミナー室A/B
Venue: Seminar Room A/B, Building 1, Earthquake Research Institute, The University of Tokyo
共催:東京大学史料編纂所、東京大学地震研究所、東京大学地震火山史料連携研究機構
プログラム(日英同時通訳あり)/ Program (simultaneous translation will be provided)
13:00 開会・趣旨説明 / Opening
13:10 基調講演 / Keynote
イタリア、欧州、そしてグローバルスケールの歴史地震データ管理−10年間の経験から得られた洞察−(要旨)
マリオ・ロカティ(イタリア国立地球物理学火山学研究所)
Managing Data of Historical Earthquakes at Italian, European and Global Scale: Insights into a ten-year Experience (Abstract)
Mario Locati, Istituto Nazionale Geofisica e Vulcanologia (INGV)
14:20 講演
地震研究のための歴史史料の情報化とネットワーク構築をめざして(要旨)
榎原雅治(東京大学史料編纂所,東京大学地震火山史料連携研究機構)
Digitization and Networking of Historical Japanese Materials in Seismic Research
Masaharu Ebara, Historiographical Institute / Collaborative Research Organization for Historical Materials on Earthquakes and Volcanoes, the University of Tokyo15:10 休憩 / Coffee break
15:30 話題提供
歴史地震研究と人文情報学ツール
加納靖之(東京大学地震研究所,東京大学地震火山史料連携研究機構)
DH Tools for Historical Earthquake Study
Yasuyuki Kano, Earthquake Research Institute, Organization for Historical Materials on Earthquakes and VolcanoesThe University of Tokyo
15:50 話題提供
歴史地震研究における市民科学
橋本雄太(国立歴史民俗博物館)
Citizen Science in Historical Earthquake Research
Yuta Hashimoto, National Museum of Japanese History
16:10 パネルディスカッション / Panel discussion
17:00 閉会 / Closing